「人の最期に寄り添う看護」
Pさん 2B病棟勤務
私は2B病棟に配属が決まってから、入院、退院、転棟、そして受け持ち、たくさんの患者さまと関わり、いろいろな体験をしました。今でも、慣れないことが多く、失敗の日々です。そんな中で私が思う、一番記憶に残っている看護体験はエンゼルケアです。初めてのエンゼルケアは「命と向き合うとはどういうことか」を深く考えさせる貴重な体験となりました。
初めてエンゼルケアに入ったのは4月頃入院された、塞栓性脳梗塞の急性期の患者さまでした。
その頃私は受け持ちがまだ1~2人で、先輩についていくのが精一杯でした。先輩がその患者さまを受け持つ際に、何度か見学させていただきました。指示が伝わらず、殴る、蹴る、噛むといった行為があり、その患者さまに対して、先輩がどんな看護をしているのか、どういったケアをするのか疑問でした。何度も見学に行き、患者さまの1日の流れが理解できた頃、先輩が入る看護ケアに何度か入らせていただきました。
4月の後半、出勤すると、いつもの病室に患者さまがいませんでした。理由を先輩に尋ねると、CT検査の際に呼吸が停止したため個室に移られたそうでした。先輩がエンゼルケアに入るとのことで一緒に見学させてもらいました。学生の頃から、エンゼルケアに対して興味がありました。初めて病棟で「人の死」に真正面から向き合う緊張がありました。

エンゼルケアの目的として、患者さま本人の尊厳を守ることが挙げられ、生前と同じように清潔を保ち、安らかな表情で旅立てるように整えることは看護の延長であり、最後まで人として大切に扱うという意味を持っています。また患者さまのご家族にも心理的な支援が必要です。看護師が穏やかに亡くなった患者さまを整えることは「この人は大切に扱われている」という安心感をご家族に与えることができます。エンゼルケアが終了した際に、ご家族が「ありがとうございます」と話されていたのが印象的でした。
エンゼルケアの行為には看護師の「その人らしさを最後まで大切にする」という思いが込められていると感じました。またエンゼルケアにおいて感染対策は欠かせず、亡くなった後でも、体液や血液による感染のリスクがあるため、標準予防策を徹底することが大切であると感じました。
10月頃、初めて亡くなった患者さまのエンゼルケアに入らせていただき、先輩の指示にしたがってエンゼルケアを実施し、その人らしさを考え、個別性のある看護を行うことができました。またその際に、ご家族から「ありがとうございました」と感謝の言葉をいただきました。
私はこの経験を通して、エンゼルケアは「死後の処置」ではなく「人生の最後の看護」であると感じました。患者さまの命が終わったとしても、看護師の役割は終わりません。生きていた時間を共にした患者さまに感謝と敬意をもって行うことは、看護師としての姿勢そのものだと思います。家族にとってその場面が「最後の記憶」となるため、看護師の言葉や態度は大きな意味を持つと感じます。落ち着いた声掛けや丁寧な所作は悲しみに包まれているご家族の心を少しでも癒すことに繋がると感じました。
エンゼルケアを経験してから、日々の看護にも変化がありました。生きている「今」を大切にしようという気持ちが強くなり、患者さまと過ごす時間をより丁寧に過ごすようになりました。また、「人の最期に寄り添うことも看護の一部」であると受け止められるようになりました。ご家族の悲しみに共感しつつ、看護師として冷静に行動できる力を身につけていきたいです。
エンゼルケアには生命の尊さ、人の尊厳、家族への思いやり、看護の本質が凝縮されていました。今後、看護師として病棟で働く中でエンゼルケアに関わることが何度もあるでしょう。その時は単に手順を行い、業務を行うのではなく、「一人の人間として最後まで尊重する」という看護の目的を忘れずに関わりたいと思います。そして、家族が故人との別れを少しでも穏やかに受け入れられるよう、環境づくりや声掛けにも配慮したエンゼルケアを行っていきたいです。エンゼルケアは命の尊さや看護の本質を改めて考えさせてくれる大切な経験です。これからも一つ一つのケアに心や尊敬の念を込め、看護師として人との「生」と「死」に真剣に向き合っていきたいです。

