リハビリテーションについて

「リハビリテーション」という言葉はもともとラテン語の「re(再び)+habilis(適する)」からきており、人間が「本来あるべき姿に回復」するという意味があり、わが国では「全人間的復権」と訳されています。
上記を踏まえ、リハビリテーションの目的は単に「ADL(日常生活活動)の向上」ではなく、「QOL(生活の質)の向上」だと言えます。

患者と理学療法士

理学療法について

理学療法とは、病気、けが、高齢、障がいなどによって運動機能が低下した状態にある人々に対し、運動機能の維持・改善を目的に、運動・温熱・水・光線などの物理的手段を用いて行われる治療法です。

(日本理学療法士協会ホームページより抜粋)

理学療法士とは

理学療法士は「Physical Therapist(PT)」とも呼ばれます。けがや病気などで身体に障がいのある人や障がいの発生が予測される人に対して、基本動作能力の回復や維持、および障がいの悪化の予防を目的に、運動療法や物理療法などを用いて、自立した日常生活が送れるよう支援する医学的リハビリテーションの専門職です。

(日本理学療法士協会ホームページより抜粋)

当院の理学療法室について

在籍理学療法士数

2名(2023年10月現在)

施設基準(厚生労働大臣認定)

脳血管疾患等リハビリテーション(Ⅲ)

急性発症した脳血管疾患等またはその手術後の人が対象。

※脳梗塞、脳出血、くも膜下出血、脳外傷、脊髄損傷、神経疾患、神経筋疾患等

運動器リハビリテーション(Ⅱ)

急性発症した運動器疾患等またはその手術後の人が対象。

※上・下肢の複合損傷(骨・筋・腱・靱帯・神経・血管のうち3種類以上の複合損傷)、脊椎損傷による四肢麻痺(1肢以上)、切断・離断(義肢)、運動器の悪性腫瘍等

廃用症候群リハビリテーション(Ⅲ)

急性疾患(肺炎等)または外科手術の治療等の安静による廃用症候群であって、一定程度以上の基本動作能力、応用動作能力、言語聴覚能力及び日常生活能力の低下を来している人が対象。

施設専有面積

約100㎡

施設設備

プラットホーム(訓練台)、平行棒、歩行器、ピックアップウォーカー、シルバーカー、T字杖、4点杖、重錘、訓練用マット、姿勢矯正用鏡、各種車椅子、各種測定器具等

理学療法室の業務内容

リハビリテーションは病気やけがの発症から経過した日数によって「急性期リハビリテーション」「回復期リハビリテーション」「維持期リハビリテーション」に分類されます。
当院では、主に維持期リハビリテーションをメインに実施しています。
急性期、回復期の人にもリハビリテーションは可能ですが、リハビリテーション1回あたりの時間やひと月当たりの実施回数は維持期リハビリテーションに準じています。

理学療法室

急性期リハビリテーション

脳卒中や骨折などの病気やけがの発症から数日後~1ヶ月くらいの期間に行われるリハビリテーション。
病状が不安定な状態であるため、身体機能・身体能力の維持、廃用予防を中心としたリハビリテーションを実施。
(1日あたり1~1.5時間のリハビリテーションを毎日実施)

回復期リハビリテーション

脳卒中や骨折などの病気やけがの発症から1ヶ月~6ヶ月くらいの期間に行われるリハビリテーション。
急性期治療が終了し病状が安定しているため、身体機能・身体能力の向上を目的に積極的なリハビリテーションを実施。
(1日あたり2~3時間のリハビリテーションを毎日実施)

維持期リハビリテーション

脳卒中や骨折などの病気やけがの発症から6ヶ月以後くらいの期間に行われるリハビリテーション。
回復期リハビリテーションの期間は終了したが、まだ医学的・社会的・心理的サポートが必要な場合に行われる。
身体機能・身体能力の維持、廃用予防を中心としたリハビリテーションを実施。
(1回あたり20分のリハビリテーションをひと月あたりで最大13回実施)

※期間は病気やけがの種類により異なります。

理学療法の様子

また当院では、「脳血管疾患」「運動器疾患」「廃用症候群」のリハビリテーションに対応しており、以下の治療を実施しています。

リラクゼーション、関節可動域訓練、筋力強化訓練、基本動作訓練(寝返り・起き上がり・座位・起立・立位)、起居動作訓練、移乗訓練、歩行訓練、ADL訓練(食事、更衣、トイレ、整容)、ポジショニング、安楽肢位の確保、環境設定等

その他にも、患者さまの個々に合わせた靴・杖・車いすなどの福祉用具の選定や購入の手伝い等も行い、患者さまのADL・QOLの向上をサポートします。

理学療法室ではリハビリテーションを行うことによって日常生活活動が獲得できる環境を提供し、患者さま・ご家族さまが安心して在宅や社会復帰できるようチームで支援しております。

また、在宅や社会復帰が困難で入院生活が長期に及ぶような場合には、安心・安全・快適な院内生活ができるよう支援していきます。

杖を手渡す理学療法士