「小さなサインに気付いて寄り添うこと」
Mさん 2B病棟勤務
私が心に残っている看護体験は、患者さまの小さなサインに気付き寄り添うことの大切さを実感した二つの場面です。
一人目は、脳梗塞の後遺症で言葉がほとんど出ず、両手にミトンと体幹抑制をされていた患者さまです。ある日、手を何度も伸ばしてアピールしてくる姿が目に入り、何か訴えたいことがあるのかなと思いました。そこで、他の患者さまに行う処置を早く終わらせその患者さまの抑制解除する時間を作りました。看護記録の入力だけは終わっていなかったので患者さまの手を握りながら片手でパソコン入力をしました。

「片手でごめんね、すぐ入力しますから」と言うとかすれた声で「いいよ。」と頷いてくださり、その後ゆっくり話をしていると予想以上に私が話した内容をよく覚えてくださっていることがわかりました。
安全のために抑制をしている状態ですが、ミトンをとってもらって嬉しいと伝えてくださった、この体験後から出来るだけ短時間でも抑制解除できるようにしたいと改めて思いました。
二人目は、肝硬変で入院している患者さまです。薬の種類が多く、食欲もなく、どこか活気がないように感じる方でした。夜間には便失禁があり、爪の間が汚れてしまっていることが気になりました。綺麗にしたいと思い、時間をつくり、爪切りと手浴を実施しました。すると、汚れがドンドンと落ちる様子に患者さまは笑顔をみせてくれました。
「どうですか?」とたずねると、きれいになったね~とこれまでに見たことがない嬉しそうな表情を見せて下さいました。その笑顔をみた時、清潔ケアは単に身体をきれいにするだけではなく、気持ちの向上にも繋がるケアだと実感することができました。
この二つの体験を通して、私は看護師として寄り添う大切さを学びました。
忙しさや安全管理の中でも患者さま一人一人の気持ちに気付こうとする姿勢を大切にし、患者さまに安心と尊厳を感じてもらえる看護を目指そうと思います。


